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後見の種類
「成年後見の種類」という題にしましたが、正確には「制限行為能力者制度の種類」です。制限行為能力という言葉ではわかりづらいかと思い、一般的な言葉にしました。
制限行為能力者制度とは、あくまでも本人のための制度であり、その本人の利益になるかどうかが判断基準となります。周りのご家族の助けにはなりますが、そのご家族が利益を得るための制度ではありません。
(1)法定成年後見
▲このページの上へ(2)任意成年後見
▲このページの上へ(3)未成年後見
未成年者に対して親権を行う者がいなくなった場合に、親族等が家庭裁判所に対し未成年後見人を1人選任する請求をするもの。
法人はなることができない。
親権を行う者がいないとは
- 親権者が存在しない場合
- 親権者が親権を行使することができない場合
(単独で親権を有する親が後見開始の審判を受けた場合)
(親権者が管理権を有しない場合)
(4)保佐
精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な場合に、
親族等が家庭裁判所に対し保佐人を選任する請求をするもの。
1.保佐人の同意権、取消権、追認権
被保佐人は民法13条第1項に掲げる行為をするには保佐人の同意を得なければならない。
同行為について、保佐人は取消権、追認権も認められている。
民法13条第1項
- 元本を領収し、又は利用すること
- 借財又は保証をすること
- 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること
- 訴訟行為をすること
- 贈与、和解又は仲裁合意をすること
- 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること
- 贈与の申込みを拒絶し、遺産を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること
- 新築、改築、増築又は大修繕すること
- 第602条に定める期間を超える賃貸借をすること
*第602条・・・樹木の栽植・伐採を目的とする山林は10年
その他の土地の賃貸借は5年
建物の賃貸借は3年
動産の賃貸借は6か月
*上記以外にI訪問販売取引(電話勧誘販売を含む) - 一取引5万円以上のテレフォンショッピング取引
2.保佐人の代理権
成年後見人と異なり、保佐人は当然には代理権は認められていない。
しかし、家庭裁判所に対し、代理権付与の審判をした場合に認められる。
代理権を付与する場合は、本人からの同意がなければならない。
代理権の範囲は限定されていない。
*本人の居住用不動産の処分の代理については、家庭裁判所の許可を得なければならない。
*身分行為(婚姻・離婚・認知・養子縁組・離縁等)や遺言の代理はできない。
(5)補助
精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な場合に、親族等が家庭裁判所に対し補助人を選任する請求をするもの。
補助開始の申立てと同時に、同意権又は(もしくは双方)代理権付与の審判の申立てをしなければならない。
- 補助人の同意権、取消権、追認権
成年後見、保佐と異なり家庭裁判所に対して、同意権の付与の審判をした場合に認められる。
同意を得る行為は民法13条1項に定めた行為の一部に限られる。
同意権を付与する場合は、本人の同意がなければならない。
同意を要するとされた行為に対しては取消権、追認権は認められる。 - 補助人の代理権
補助人の同意権同様に代理権の付与の審判をした場合に認められる。
代理権を付与する場合は、本人からの同意がなければならない。
代理権の範囲は限定されていない。
*本人の居住用不動産の処分の代理については、家庭裁判所の許可を得なければならない。
*身分行為(婚姻・離婚・認知・養子縁組・離縁等)や遺言の代理はできない。
(6)保護者
精神障害者について,家庭裁判所は申立てにより、その扶養義務者(直系血族及び兄弟姉妹)の中から,保護者を選任します。 保護者は,精神障害者に治療を受けさせ,財産上の利益を保護したりします。 後見人,保佐人,配偶者及び親権者は法定の保護者ですので,これらの者がいる場合は保護者の選任は必要ありませんが,配偶者及び親権者については,特別の事情がある場合には,家庭裁判所は,保護者の義務を行うべき順位を変更し,その他の扶養義務者の中から保護者を選任することができます。